舌が幸せを覚えてしまう
ここでしか味わえない料理との出会い
食通に愛される「ひらまつ」は、最高の料理と最高のサービスをモットーとして、現在では33店舗の名門レストランを経営している。そんなレストラン業36年の歴史がある同社が作り上げたのは、食を目当てに訪れるホテルだ。コンセプトは、フランスのオーベルジュのような“滞在するレストラン”。レストランは、宿泊者専用の一階ダイニングとビジター向けの二階ダイニングに分かれており、様々なゲストに対応できるのは仙石原のホテルだけである。
階段で一階に降りると、美しい風景に向かって開かれた大きな窓が印象的なダイニングが、ゲストを迎え入れてくれる。地産地消料理を基本にしながらも、全国にレストランを展開する同社のネットワークを最大限に活かして、「今一番おいしい食材」を一皿に込める。料理の素晴らしさはもちろんのこと、心地よいレストランの空間をそのままに、最高のおもてなしを受けられることも、このホテルの魅力のひとつである。
■春のディナーコース(左から)
上:パルマ産生ハムのビニエ
下:駿河湾産 桜海老とたらの芽のフリット 山葵の入ったガスパチョと桜の香り
上:フォアグラのソテーとグリーンアスパラガス 黒トリュフのソース
下:活車海老とアボカドのサラダ仕立て ホワイトバルサミコ酢のジュレを添えて
上:富山県産 ホタルイカのスパゲッティー 赤貝とグリンピースと共に
下:小田原産 サヨリと山菜のリゾット 蕗の薹のほろ苦いソース
神奈川県産相州牛イチボの炭火焼 セロリとハーブの香り 赤ワインソース
奥:イチゴとフランボワーズのミルフィーユ バニラの香りと甘酸っぱいソース
手前:フロマージュブランのパンナコッタ 黄金柑のコンポートを添えて
上|2階にあるビジター用ダイニング。名画を楽しみながら美食をいただく贅沢はひらまつならではだ。下|宿泊者向けのダイニング。朝食はたっぷりと入る朝の光と木々の緑を感じながら。
初の伊料理と仏料理の融合
主力事業の高級レストランで培った料理には徹底的にこだわっている。「仙石原のレストランは新しい挑戦の場です」と話すのは、ダイニングを任された吉越謙二郎氏。名店で腕を磨いたイタリア料理に、ひらまつが創業から築き上げてきたフランス料理を融合させた夢のレストランだ。
入社して20年、ASOで料理の魅せ方や表現方法について学び、新店のシェフを歴任してきた。奈良・春日野のリストランテ オルケストラータでは、半年でミシュラン1つ星を獲得。それほどの実力を持ちながらも、「自分の料理とは何なのだろうか」という壁にぶつかっていたという。「足りないものを身に付けたい」と、創業者の平松会長にクラシックなフランス料理をゼロから学び、ジャンルにとらわれない自由な発想の料理が生みだされた。
左|コース料理に合わせてソムリエが選んでくれたワイン。赤:2009 VOLNAY CLOS DE LA BARRE(LOUIS JADOT) ¥14,000 白:2009 CHATEAU DE FIEUZAL(Pessac-Leognan)¥15,000 右|笑顔が素敵な吉越さん。母方のご実家の蕎麦屋を子どもの頃から手伝い食に親しんでいたそう。
箱根の四季を料理で
シェフの妙技を五感で感じる
箱根の大自然を感じる料理はどのように創り出されるのだろうか。「インスピレーションは長くいるから感じるものではないんですよ」とシェフは話す。ホテルがオープンする前に仙石原の地をたくさん歩き、風を感じながらメニューを考えていたという。寮の庭を掃除しているときに蕗の薹を見つけ、「山に行けば美味しい山菜がとれるかもしれない」と、実際に足を運んでみたこともあるのだそう。仙石原で感じたインスピレーションがエッセンスとして加わることで、ここでしか味わえない記憶に残る一皿が完成するのだろう。自然と一体となった味、演出をお客様に楽しんでもらいたい。そんなシェフの情熱が伝わってくるようだ。
連泊するゲストも飽きることがないよう、2泊目には本格的なひらまつのフランス料理を提供。朝食も京都の和食料理長に学んだこだわりの和朝食に変わる。地のものを生かしつつも、日本全国から最高の食材を仕入れ、常にクオリティーを保つよう心がけているのだそう。「スタッフ全員がひとつとなっておもてなしをさせていただくので一度足を運んで仙石原を五感で感じてほしい」吉越シェフの妙技を心ゆくまで堪能すれば、季節が巡るたび、舌が幸せを思い出さずにはいられないだろう。
左|ビジター向けダイニングのテラス。夜は水盤に炎がゆらめく。右|体が喜ぶ朝食メニューは搾りたてのジュースと一緒に。
おもてなしの心はウェルカムドリンクにも
フランス産の高級ジュース
ひらまつのホテルで出されるウェルカムドリンクは、厳選した果実だけで作られたアラン・ミリア(Alain Milliat)のジュースだ。フランス産高級ワインのように、ルレ・エ・シャトーのソムリエ約60名と意見交換をしながら作り上げられたジュースは、果実を味わう喜びを思い起こさせてくれる。
左|アラン・ミリアのジャムは朝食で焼き立てパンと共に味わえる。右|各部屋のミニバーにもあるジュースは無料。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1245-337
電話:0460-83-8981
ステイ:1泊2食付・2名利用時 2名利用時1人価格:¥49,000〜(2017年4月現在) ※入湯税 / 消費税 / サービス料別
ビジターレストラン ディナーコース:¥12,000 / ¥20,000 ※消費税 / サービス料15%別 / 要予約
アクセス:Google map
▷ひらまつ仙石原ホテルの紹介記事はこちらへ。
[All photos by Kazashito Nakamura]
– 2017年5月 / APART JOURNALで執筆した記事より –
465 replies on “ 五感で幸せを感じる一皿を|ひらまつ仙石原料理長・吉越謙二郎氏 ”
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