小さなご褒美

空がやんわり色付き始めると
この世界はすこしだけ
時計の針が遅くなる

同じ背丈で並ぶ家は
今日だけの色に染まるのを楽しみ

公園の小路へとかける柴犬は
ゆれるしっぽをきらきらと輝かせている

夕暮れってどうしてこんなにも美しいのだろう
そんなことを考えながら歩いていた

きっと誰もが心のなかに
世界で一番美しい夕日をもっている

それはあの日
あの人と海で見た夕日かもしれない

それはあの日
わが子の歩く先に見た夕日かもしれない

それは今日
この夕日になるかもしれない

夕暮れの光は刻々と色を変えていく

それぞれの道を歩む私たちの肩に
そっと寄り添うように

今日という一日を生き抜いた
ささやかなご褒美として

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