私が旅にでる理由

どうして旅にでるのかと聞かれる
見えないものを見たいと答える

旅は「昼の星」を見ているような
そんな特別な感覚になる

いつもは見えないけれど
たしかにそこに存在しているもの

個展『Daylight star -ひるのほし-』より

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なんだか大げさなタイトルをつけましたが、旅にでることにきちんとした理由なんてなくてもいいと思っています。「旅がしたい!」 ただそれだけで十分すぎるほどですよね。

私自身、これといって「旅にでる理由」について深く思考を巡らせたことはなかったのですが、以前開催させていただいた個展で「どうして旅がしたいんだろう」と考えるきっかけをいただきました。そのとき、浮かんできたのが上の言葉たちです。

私は「〇〇が見たい!」などの目的をもって旅に出たことはありません。旅先では、なんでもないような路地や公園をお散歩しながら、シャッターをきったりペンを走らせたりして過ごしています。「目標〇〇ヶ国」なんていうものもないですし、もっと言えば「ここの国に行きたい!」という強い希望も特になかったりします。それはつまり、“どこへでも行ってみたい” からなのです。

子どもの頃から空を眺めるのが好きで、地球の裏側で生活をしている人たちのことを想像しては空に向かって話しかけたりしていました(裏側なら本当は地面が正解ですね)。

そして初めて旅に出たのが小学校5年生の夏。子ども料金で飛行機に乗れる最後の年と知った私は「行かなくちゃ!」と、大切に貯めていたお年玉を全部おろし、親戚がいるオランダ行きの飛行機に乗ったのです。

家々の間から運河にこぼれ落ちてゆく美しい光、その宝石のような輝きをなんとか日本に持ち帰ろうと、夢中でシャッターを切っていたのを今でもよく覚えています(ここで光を撮りすぎたばかりに、後日使い捨てカメラを何個も買い足してもらうことになってしまった失敗も旅の思い出です…)。

その頃から “見えないものを見てみたい” という想いと “世界中の美しい一瞬を集めたい” という想いは変わっていないのかもしれません。

地球はたくさんの生命をのせて今日もくるくると回っています。生きていれば悲しい出来事もありますが、それでもこの世界はとても美しい一瞬であふれていて、その一瞬一瞬の積み重ねがこの世界の素晴らしさを作っているのだと思うのです。そんな美しいかけらをこれからもたくさん集めていきたい。それが、『私が旅にでる理由』です。