この涙のわけまでも


「記憶がいつか消えますように」

あなたは夜風と手を繋ぎながら
そんなことを言っていたけれど

この涙のわけまでも
忘れてしまう日がくるのなら

あなたとふたり

流れる時の狭間のなかで
記憶の海に沈んでゆきたい

わたしはそう願ってしまうのです